「ものづくりを通じて地域公共交通の利便性向上に貢献したい」
企業版ふるさと納税 企業インタビュー #04
株式会社 河村産業所(愛知県あま市)
取材日:2026年00月00日

富山市が取り組むプロジェクトに対し、“企業版ふるさと納税”による寄附をいただいた企業は、どのような理由やきっかけで寄附に至ったのでしょうか。インタビューでは、率直なご意見や富山市への寄附に対する想いについてもお聞きしました。
今回、お話を伺ったのは、鉄工事業や建設事業を通して社会に貢献する製品やインフラをつくりだす「株式会社 河村産業所」様です。

お話しを伺った株式会社 河村産業所 
(写真左側)富山工場 生産管理部長の黒川仁志さんと(写真右側)富山工場長の冨田恵一さん

■企業プロフィール
株式会社 河村産業所(https://www.kawamura-ss.co.jp/)

1938年、愛知県海部郡甚目寺町に『河村重工業所』を創立。1945年に土建部を併設して土木建築工事を始め、『河村産業所』に改称。1968年からは鉄工事業と建設事業を軸に事業を展開。1996年に富山県八尾中核工業団地に鉄工事業部 富山工場を開設。2004年に富山工場第2工場、さらに2009年には、鉄工事業部 富山大沢野工場を開設。金属のプレス加工・溶接組み立て加工の技術を強みとし、大型観光バスの部品をはじめ、建設機械部品などを製造する。富山工場107名、富山大沢野工場55名(2026年7月末日現在)。

今回のインタビューで伺った、富山市八尾町を拠点とする富山工場

まずは、御社の事業内容について教えてください。

当社は鉄工事業と建設事業を軸に事業を展開しており、再来年で創業90周年を迎えます。富山工場では板金プレス加工や溶接組立加工を手がけ、日本全国を走るバスの部品から、建設機械部品まで幅広く製造しています。
 実は、富山県と石川県は全国のバス製造シェア63%を誇り、ファンの間では「バスの聖地」として工場ツアーが人気を集める地域です。バス製造の一大拠点である北陸で、当社は主に『三菱ふそう』をはじめとする大手バスメーカーの板金部品を製造しています。特に「バスの顔」となる大型バスのフロントボデーやリアボデー、さらに小型バスのボデー板金部品においては約90%を製作しています。自分たちが手がけた製品がバスとなり、日本の観光や人々の移動を支えて街中を走る姿を見られることが、大きなやりがいです。
 また、自社開発にも力を入れています。「もっとカッコいいバスをつくれないか」という社員の声から共同開発した「大型観光バスのメッキバンパー」、コロナ禍で受注が激減したときに社員の提案から生まれた「足踏み式消毒スタンド」など、日々の困りごとや「あったら便利」をカタチにする製品づくりもサポートしています。

数ある自治体の中で富山市に寄附することにした理由やきっかけは?

富山工場は30年前にわずか6名でスタートしました。それが現在は、富山市内に4工場を構え、150名を超える社員が働く会社へと成長しました。
 そんななか、本社を通じて知ったのが、この「企業版ふるさと納税」です。当社が以前から取り組んできたSDGs(持続可能な開発目標)活動と、制度の目指す方向性が合致したことが検討のきっかけとなりました。
 長年お世話になってきた富山市への地域貢献はもちろん、当社の認知度アップと企業ブランディングの一貫として、人材採用面でのアピールにもつなげたいと考えています。

今回、寄附対象事業の中から、「市営コミュニティバス運行事業」「AIオンデマンド交通システム事業」を選定された理由を教えてください。

一番の理由は、当然ながら当社がバス製造に携わっていることです。また、富山工場がある八尾中核工業団地には、「市営八尾コミュニティバス」が運行され、地域にとって「なくてはならない交通手段」となっています。実際に当社だけでなく、工業団地内のほかの企業でも、運転免許をもたない新入社員や技能実習生の通勤、特別支援学校の生徒が就業体験する際などに利用されています。
 また、八尾地区は坂が多く徒歩での移動が困難な上、とても広大です。大長谷温泉や野積など遠方まで運行するコミュニティバスは、車を運転できない地域住民にとって唯一の交通手段です。
 一方、大山地区には「AIオンデマンド交通システム」が導入されています。時刻表や決まったルートがなく、予約に応じてAIが運行ルートを考えながら走るこのシステムは、安価で非常に利便性が高い素晴らしい仕組みだと実感しました。この先進的な取り組みが、八尾地区にも広がれば、地域の皆さまの利便性はさらに高まり、燃料やCO2削減にもつながると思います。

車を運転できない地域住民にとって重要な市営八尾コミュニティバス

富山市へのご寄附に込められた想いを聞かせてください。

今年で開設31年目を迎えた富山工場は、長年培ってきた技術と実績を誇る一方で、地域における認知度の向上が課題です。
 そこで、より多くの方に当社を知っていただくため、さまざまな活動に取り組んでいます。自社開発の「足踏み式消毒スタンド」は、当社の社名入りでスーパー「アルビス」全店に設置されているほか、富山西総合病院や富山第一銀行の一部の店舗にも導入されました。店頭で見かけたという歯科医院から注文をいただいたこともあります。また、インターンシップ企画では、学生が提案・試作・デザインを一から手がけた焚火台を製作しました。八尾の「おわら風の盆」をモチーフに「輪炎(わえん)」と名付け、キャンプ用品店で限定販売したところ、Instagramの閲覧数が1万人(延べ23,000回)を超える反響を集めました。このほか、富山大学卓球部への協賛など、地域を盛り上げる活動は多岐にわたります。
 今回の寄附においては、さらなる地域貢献を果たすとともに、当社のものづくりへの想いや取り組みをより多くの方に知っていただけることを願っています。

(写真左) 自社開発の「足踏み式消毒スタンド」
(写真右下) 学生が提案・試作・デザインを一から手がけた焚火台「輪炎(わえん)」

ご検討からご寄附までの期間はどのくらいでしたか?

製造業の人材確保が大きな課題となるなか、企業ブランディングの一貫として、まずは当社の取り組みを知っていただくことが重要だと考えました。富山工場の魅力発信や地域貢献につながり、結果として採用面でも大きなアピールになると、社長に事前説明を行ったところ即決で、すぐに寄附に至りました。

企業版ふるさと納税を通じて得られた社会的価値はどのような点だと思われますか?

先日、富山市への寄附に対する感謝状贈呈式が行われました。新聞にも掲載され、「しっかりと社会貢献している会社だね」と声をかけていただく機会が増えました。贈呈式では藤井富山市長からも、「バスの修理費も必要になるため、とてもありがたいです」とのお言葉をいただきました。
 今回の寄附が、両交通事業のさらなる発展、拡大につながり、地域社会へより大きな社会的価値をもたらすことを願っています。

企業版ふるさと納税を活用したメリットはありましたか?

富山市からの感謝状は富山工場の玄関に飾り、全員で共有しています。社員一同、自分たちの会社が地域社会に貢献していることを誇らしく、前向きに捉えていると感じます。
 また、愛知県にある本社とは物理的な距離があるものの、今回の寄附を通じ、「本社が富山工場や大沢野工場、そしてこの地域を大切に考えてくれている」という意識が浸透し、組織としての一体感が強まったこともうれしいことでした。
 さらに、新卒採用面接で「SDGsやCSR活動への取り組みは?」と質問する学生が増えているため、今回の制度活用によって「地域貢献している」とアピールできる強みができたと考えています。

感謝状贈呈式のあと、藤井富山市長と対談を行う冨田恵一工場長

最後に、企業版ふるさと納税を検討されている企業へ一言お願いします。

当社のミッションは「一流のものづくり」を通じて、安心や信頼、感動を提供し、広く社会に貢献することです。寄附の背景には、長年にわたり地域に育てていただいたという強い感謝の想いがあります。そのため、単なる税制上の優遇措置ではなく、当社が推進するSDGsや「CSR」(企業の社会的責任)の目標達成に向けた取り組みの機会と捉えています。
 これからどのような評価をいただき、どのようなメリットが生まれるかはわかりませんが、「スタートしなければ何も始まらない」との想いで一歩を踏み出しました。今後も地域に寄り添った継続的な支援を行っていければと考えています。

ご支援に対する
富山市交通施設課からのコメント

このたび、河村産業所様からのご支援、そして本市の取組へのご期待に、心より感謝し、大変嬉しく思っております。

富山市では、公共交通を軸とした「コンパクトなまちづくり」を進めるとともに、市民の皆さまが移動しやすく、安心して暮らし続けられるよう、公共交通の利便性向上や利用促進に取り組んでまいりました。

特に、バスは日常の移動手段として、市民生活や地域のにぎわいを支える大切な交通インフラであり、誰もが利用しやすい公共交通ネットワークの維持・充実は、本市にとって重要な課題であると考えております。

こうした本市の取組を後押ししていただけることは、大変心強く感じているところであり、引き続き、富山市の公共交通施策の取組を応援していただけますと幸いです。

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